川端康成の小説「伊豆の踊子」をはじめ、多くの文学作品に登場するトンネルが天城山トンネルです。伊豆半島の河津町にあり、重要文化財になっています。日本に現存する石造道路隧道の中で、最大長の構造物で完成度が高く、明治後期を代表する隧道(トンネル)ということです。車も通行可能ですが、トンネルの手前で車を駐車して歩いて石造りの穴道へと入っていくと、入り口から数メートルで気温がぐっと下がってきます。ひんやりとした空気感にちょっと緊張を覚えながら進みます。白熱電球が一定区間に設置されており、赤みを帯びた柔らかな光が石造りの表面を照らし、遠い歴史を感じさせてくれました。同じように、川端康成を始め多くの作家がこの冷たい空気の中で何を思ったのか、興味深い一時でした。


